2024年12月9日 12:56
いま、日本で次々と宗教法人が売買されているという事実をご存知でしょうか? 実は現在、宗教法人の売買は文化庁も警鐘を鳴らすほどの社会問題となっています。あなたにとって馴染み深い寺院や神社も、気が付けば別の法人に所有が移っているかもしれないのです。
本記事では、宗教法人がどのように売買され、その背景にどのような事情があるのか、また、そもそもその売買は合法なのかといった疑問について解説します。
日本の宗教法人、とりわけ寺院や神社は、少子高齢化の波をもろに受けています。高齢の住職や神主が運営を支える一方で、次世代の跡継ぎがいないケースが増えています。多くの寺院が、「檀家(信者)数の減少」や「住職の高齢化」といった課題を抱え、経済的な苦境に立たされているのです。
たとえば、ある地方の寺院では、一人の高齢住職が複数の寺院を管理しているという事例もあります。こうした過重な負担に耐えきれず、売却を考える住職が増えているのが現状です。
特に地方の寺院では、檀家の減少や地域社会の過疎化に伴い、運営が困難になっています。田舎の小さなお寺では、住職の生活費すら捻出できず、売却を考えるケースも少なくありません。
現時点では、宗教法人の売買を禁止する法律はありません。したがって、法的な障壁は存在しません。しかし、寺院や神社によっては内部規定や宗派の取り決めがあり、これらをクリアする必要があります。
たとえば、特定の宗派では、寺院を売却するために宗派本部の許可が必要です。また、檀家や地域住民の反対によって売却がスムーズに進まない場合もあります。
宗教法人を買収する主な目的の一つが、「節税」です。宗教法人は、固定資産税や相続税が免除されるほか、法人税も非常に低い税率で運営が可能です。この税制上の優遇措置を目的に、国内外の企業が宗教法人の買収を検討しています。
一部の購入者は、純粋に住職や神主になりたいという動機から宗教法人を買収しています。しかし、このような動機であっても、運営の継続性が確保されなければ、一代で活動が途絶えるリスクがあります。
特に問題となるのが、実態のない「ペーパー宗教法人」の存在です。これらは、住職のいない寺院を売却し、宗教法人の形だけを残すことで税制優遇を享受するケースです。これが文化庁や専門家から問題視されています。
現状、宗教法人の売買を規制する法律が整備されておらず、脱法的な取引が可能です。たとえば、活動停止中の宗教法人を悪用し、脱税や資金洗浄(マネーロンダリング)の温床とするケースもあります。
最近では、宗教法人の売買に関連する犯罪も発生しています。たとえば、2023年には大阪の寺院で、土地の一部を老人ホームに転用する目的で虚偽の登記申請が行われ、住職が逮捕されました。また、2024年には、活動が事実上停止していた宗教法人の議事録を偽造したとして、元司法書士らが逮捕されています。
宗教法人の売買に関する規制を明確化し、違法行為を未然に防ぐための法整備が求められます。特に、脱税や資金洗浄に利用されるリスクを排除するため、透明性を確保する仕組みが必要です。
跡継ぎ不足を解決するためには、宗教法人がより柔軟な運営体制を導入する必要があります。たとえば、一般人が住職や神主になれる制度を整備し、運営の持続可能性を高める努力が必要です。
寺院や神社は地域社会との結びつきが強いため、売却を検討する際には地域住民や檀家の意見を尊重することが不可欠です。透明性を持ったコミュニケーションが、信頼を築く鍵となります。
宗教法人のM&Aは、後継者不足や資産の有効活用を解決する可能性を秘めています。しかし、その利用方法を誤れば、社会的な信頼を損ねる結果にもなりかねません。節税や資金洗浄を目的とした取引は絶対に避けるべきであり、法律と倫理に基づいた正しい運営が求められます。
宗教法人のM&Aや運営についてのご相談は、公式サイトをご覧ください。私たちは、透明性と信頼を重視したサービスを提供し、宗教法人の持続可能な未来を共に創ります。